Valdisole ヴァルディソーレ
ロエロで独自の理想を追求する芸術的な造り手
イタリア ピエモンテ州 クーネオ ロエロ

ヴァルディソーレは2015年に”ジュゼッペ・アマート”と”キリアキ・カリメリ”の二人が立ち上げた若きワイナリーです。ユネスコ世界遺産に登録されているランゲ、ロエロ、モンフェラートに位置する「コルネリアーノ・ダルバ」という人口2,100人ほどの小さな町のロエロ丘にあります。畑は全てロエロDOCGエリアに位置します。
ジュゼッペ達は元々ワイナリーの家系ではありませんでした。ジュゼッペは料理に魅了されており、料理教室に通うほど食に対する探求心を持っていました。そこで料理とワインのペアリングへの興味が強まりワインを学ぶようになりました。ソムリエ協会認定のソムリエ資格を取得した彼にはさらに強いワインへの情熱と探求心が芽生えました。それは実際に自分でワインを造ることでした。最初の葡萄畑はなんと中古品の販売に特化したオンラインサイトで購入したそうです。耕作放棄されボロボロになった0.5ヘクタールのネッビオーロの畑でした。このボロボロの畑でヴァルディソーレは極少ワイナリーとして産声を上げたのです。

パートナーのキリアキ(ギリシャ出身)は電子関係のエンジニアでしたが、ジュゼッペと同じくワインの世界に好奇心を持ちソムリエの資格を取りました。ヴァルディソーレが立ち上がる直前にジュゼッペと知り合い意気投合しました。
このような経緯から誕生したヴァルディソーレは「伝統的」という言葉とは対極に位置するワイナリーです。彼らはその強い探求心と情熱を持って、世界中の新旧様々な製法を学び、試し、進化をし続けています。ただ一つだけ揺るがない信条があります。「畑からカンティーナまでで、私たちのワインの唯一の原料は葡萄」ということです。言葉の通り彼らのワインには科学的な物は一切使用されない自然な方法を貫いています。
白葡萄をマセラシオンするワインを多く生み出しており、マセラシオンをするためには葡萄は完熟していること、畑での肥料は極力使用しない事を心掛けています。
栽培品種は「マルヴァジア・モスカータ」、「アルネイス」、「モスカート・ビアンコ」、そして「ネッビオーロ」です。聞きなれないマルヴァジア・モスカータはマルヴァジア系列の一つの品種です。アルネイスは昔はネッビオーロと混植して虫よけの役割があったらしく、彼らがネッビオーロだけの畑のつもりでオンライン購入した畑にも植えられていたそうです。彼らはこの偶然をアルネイスからの「挑戦」と捉え、抜くことはせずにワインにすることに決めました。モスカートは短いマセラシオンと8ヶ月間にも及ぶ長期のマセラシオンのワインも醸造しています。ピエモンテのみならずイタリアワインの「王様」と称されるバローロを生み出す黒葡萄品種「ネッビオーロ」はロエロの砂質土壌で育つ繊細な香りと滑らかさを併せ持つ格別なワインを生み出します。ネッビオーロは品種の特性もあり収穫は10月中旬以降と遅摘みになります。


ヴァルディソーレのワインの魅力はピエモンテの高いポテンシャルを備えた土着品種を用いて、大胆な醸造アプローチから生まれるアグレッシブで個性を引き出した味わいだと感じます。白葡萄はアロマティックな品種構成なので香りの強さが際立ち、自然な醸造によるエキス感に満ちています。再生されたネッビオーロは畑の方角や土壌の畑が加わりそれぞれの土壌の特徴によってボトルが分かれています。砂=Amos、太陽=Helios、エネルギー=Energiaが基本的なネッビオーロのワインであり、それぞれの個性が明確に分かれ、共通する妖艶な魅力を放っています。
若く型破りなジュゼッペ達のワインには果てしない可能性が広がっています。ピエモンテという偉大なワイン産地で彼らのような自由なワイン造りがどう進化していくのか非常に楽しみです。これからも思うままにワインを造り続けて欲しいと願っています。

アルモニア 2021

ロエロの土着品種が奏でるハーモニー
9月下旬に手作業でモスカートの収穫、その後にアルネイスとヴェルメンティーノを収穫。ステンレスタンクで自然酵母発酵。20日間マセラシオン。マセラシオンの後、ステンレスタンクでアッサンブラージュして8ヶ月間熟成。ノンフィルター。So2は瓶詰め前に極少量。「調和のとれたブレンドワインを作る」というジュゼッペ達の挑戦です。アルモニア=ハーモニー
●アルネイス75%、モスカート・ビアンコ15%、ヴェルメンティーノ10%
クリーミーで優しく柔和な雰囲気。爽やかなシトラス、スズラン、白蘭、サンザシの花と石灰が溶け合った香り。
みかんのようなキュッとした酸味とまろやかな果実味が織りなす上品で柔らかい味わい。
アウラ 2021

完熟したちょっと大人なモスカート
9月上旬に手作業で収穫。ステンレスタンクで自然酵母発酵。1/3はトノーとバリックで20日間マセラシオン。2/3はステンレスで8ヶ月間マセラシオン。その後1ヶ月間熟成。ノンフィルター。So2は瓶詰め前に極少量。アウラは毎年ふざけながらさまざまな方法で醸造して毎年違う味わいになります。アウラ=オーラ
●モスカート・ビアンコ100%
良く熟したモスカートのアロマティックな香り。キンカン、糖蜜、ゆづ、ラベンダー。
美しい上品な果実味。淡く、じんわりと口の中にエキスが広がり、中国茶のようなデリケートな余韻。
ガイア 2021

熟れた果物とスパイスのエキゾチックな香り
9月上旬に手作業で収穫。ステンレスタンクで自然酵母発酵。2週間マセラシオン。7ヶ月間熟成。So2は瓶詰め前に極少量。エミリアでも使用されるアロマティックなマルヴァジアを使用したワイン。ガイア=大地
●マルヴァジア・ディ・カンディア100%
熟れた柿、マンゴー、麝香、石のようねミネラル香。非常に華やかで香り高いエキゾチックな表情。
淡く沁み込むような上品な果実味。タンニンも程よく余韻が優しい非常にエレガントな質感。
オネイロ 2020

ジュラへのオマージュを込めた特異なワイン
9月下旬に手作業で収穫。除梗して5日間マセラシオン。アカシアとオークのトノーで自然発酵。10ヶ月間熟成。ノンフィルター。So2無添加。
オネイロ=夢
●サヴァニャン100%
濃厚な蜜柑、レモングラス、セロリ、アイラ島のウイスキーのようなフロール特有の妖艶で独特な香り。
豊潤な果実味で余韻にアーモンドや燻製食材、酸化的な旨味がじんわりと口の中に滞在します。
プノイ 2021

ネッビオーロの数世紀前の姿を再現
9月下旬に手作業で収穫。ステンレスタンクで自然酵母発酵。マセラシオン無し。オークのバリックで9ヶ月間熟成。ノンフィルター。ノンフィルター。So2は瓶詰め前に極少量。
プノイ=呼吸
●ネッビオーロ100%
コアントロー、煮詰めた甘いストロベリー、ローズマリー。淡い中に色気を感じるような特有のアロマティックな香り。
淡く上品なネッビオーロとは思えないピュアな果実味。甘みがほのかに残されており軽やかでエレガント。
アモス 2018

ロエロの特性を体現した圧倒的なエレガントさ
9月下旬に手作業で収穫。ステンレスタンクで自然酵母発酵。マセラシオン無し。オークのバリックで9ヶ月間熟成。ノンフィルター。ノンフィルター。So2は瓶詰め前に極少量。
プノイ=呼吸
●ネッビオーロ100%
ドライイチジク、シナモン、アニス、ローズマリー、コアントロー、アマーロなどなど溢れる香り。ネッビオーロらしい要素が存分に詰まっていますが自然で穏やかな香り。
品種特性であるタンニンは細かく繊細。強いエキス感がありつつ非常にエレガントな果実味と優しい旨味。