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密かに新ワイナリーとして加わっていたアルト・アディジェ州ボルツァーノ・プランツェッグをご紹介!!

March 27, 2020

 2019年に密かにトレジャーのカタログに名を連ねていたアルト・アディジェのプランツェッグ。主に2018年6月に初訪問した時の事を振り返りながら紹介していきます。あらかじめお伝えしますが、セーテの時と同じく文章長いです。それほどプランツェックのワインとの出会い、山々を望むボルツァーノの美しい町並みは僕のイタリアワイン人生に大きな期待と幸福を与えてくれました。本当に素敵な町だったので新婚旅行先の候補にしたいと思います。

 

さてこのプランツェック、トレジャーカタログをご愛読頂いている方々はちゃっかりと気付いていたかもですが、現在まで試飲会出品や案内など一切行っておりません。その理由は入荷したてのワインを試飲してみて、まだ寝かせておきたいと感じたからです。もちろんその時でもワインは美味しく、本当に素晴らしい生産者だと思いました。でもどこかおとなしい状態。このワインは正直安くはありません。希少な生産本数のワインを現状のおとなしい状態で試飲会等に出して、価格に見合ってる、見合っていない、といったコスパの面でドライに評価をされるのは悲しいなと。このまま紹介したら高確率でそうなるなと思い、半年~1年くらい寝かせてみよう、と決断しました。僕が訪問した時の感動と興奮がまだ鮮明なうちにカタログの文章を起こしたかったので入荷のタイミングでカタログラインナップには加えました。ただ、上記の通り営業活動は無し、問い合わせやオーダーを希望してくれた方にはその旨を伝え、それでも欲しいと言って頂いた方々には販売させて頂きました。そうした中で元々入荷本数の少なかった一部のワインはほぼ完売していきました。

 

日本に届いてなんだかんだ1年ということで、つい先日少しだけ残っていた初回入荷VTのワインを試飲をしたのですが明らかに状態は上向いていました。正直これからまだまだ良くなると思いますが、現状でも本当に美味しいと感じました。個人的にプランツェックのスキアーヴァはベストスキアーヴァです。今月いよいよ新VTが日本に届きます。今回は前回よりもしっかりとした本数を輸入できたので、皆さんに改めてご紹介したいと思います。

カンティーナから見える美しい畑、アルト・アディジェ特有の急斜面に天井のあるような仕立てです

 

プランツェックはボルツァーノの町からかなり近い場所に畑を所有しています。待ち合わせはボルツァーノの駅。迎えに来てくれたのは奥さんのマリアとご高齢のお母さん。こちらはいつも通りイタリア語(もちろん通訳頼みですが…)で会話をしていましたが、このマリアとお母さん2人の会話の時は常にドイツ語でした。こういったところがアルト・アディジェがイタリアの中で少し特殊なエリアなのだと再認識。途中お母さんは買い物があるそうでスーパーのようなところで下りて行きました。そういえばちゃんとお迎えしてくれたのかな?…ボルツァーノの町から車で15分~20分ほど山道を上っていくとカンティーナに着きました。直線距離で言うとかなりボルツァーノからかなり近くて驚きました。まさにヴァッレ・イザルコの入口のような場所です。

 

 畑は大通りに近く実際に見下ろす事ができるような距離

 

 ボルツァーノの町もちょこっと見えます

 

 

 

写真の彼がプランツェックの現当主マルティン。基本的に彼が畑と醸造の全てを管理しています。この日は朝一の畑仕事を終えて来客用の部屋に来てくれました。ハードな畑仕事の後で少し疲れた表情。挨拶をしてプランツェックを知った経緯などを軽く説明。そして彼のワインにとても興味があると強く伝えました。彼はなかなかクールな性格なのか、畑仕事で体力失い気味なのかトーン低めでリアクション薄め。イタリアのイメージである"陽気で明るい"という感じではなく、常に冷静で落ち着いた雰囲気で、僕たちがどういう会社なのか、どんな考えがあるのか、日本でナチュラルなワインはどういう受け止め方をされているのか、などを淡々と質問してきました。今まで訪問した若い生産者達は最初からけっこう歓迎ムードで明るいトーンの人達ばかりでしたが、彼は少し違います。とても慎重なイメージ。やや緊張感のある空気が部屋に張り詰めるなか、マルティンが「今日は蒸し暑いから水分をたくさん取らなくてはいけない」と言いながらコップの水を飲み干し、僕等にも水を勧めてくれました。このやりとりで少しだけ一息…ふー痺れる時間だ。

 

今度はこちらから彼らがどんなワイナリーなのか質問をしました。

 

マルティンはこのワイナリーで3代目の当主です。約80年前に祖母が"マーゾ"を購入。このマーゾとはアルトアディジェでのワイナリーの呼び方。ドイツやオーストリアの文化で、購入した畑は代々引き継ぐシステムで組合に管理されています。例外もありますが、基本的には所有する家族の長男が必ず引き継がなくてはいけない、という特殊な伝統文化です。

 

マルティンは2001年くらいからワインを造り始めました。だいぶ小規模でしたが現代的で安定的な醸造を行っていました。バリックも使っていたしフィルターもかけていた、そして輸出受けする流行りに合わせて国際品種を植えていました。ですが畑は父の代から農薬だけは使用されていないオーガニック栽培でした。父は栽培している葡萄はほとんど組合に販売していたそうです。マルティンも最初は同じことをしていましたが、ただそれが良いことだとは思えなかった。そんな時友人がナチュラルなワインを造っているのを知り、現代的なコントロールを行わなくても美味しいワインが造れるのだと気付きます。自分の葡萄でも少しづつナチュラルなワインを造り始めます。2009年は半分はセレクション酵母、半分は自然酵母でワインを造り分けてみるという試みをしました。二つの異なる醸造のワインにどういう違いがでるのかを自分の葡萄で確かめるために。醸造開始から10カ月後に答えはでた、とマルティンは言いました。自然酵母のワインの方が自分の身体に馴染み、心が受け入れた。その時彼は自身が行うべき醸造の道に確信が持てたのです。

 

 

2010年から全てのワインを自然酵母で発酵するようになりました。そしてビオロジックの認証を取得、フィルター、清澄剤も一切使わなくなりました。自分の中でこれで良いのだと選択できるようになった。周りからの評価も彼への追い風となりました。

 

他のワイナリーからも刺激がありました。2010年にはフリウリのグラブネルを初めて飲み感銘を受けます。それからマルティンはグラヴネルを訪問してヨスコには計5回会いに行ったそうです。ヨスコに会えたことはとても恵まれていたと思っていて、ヨスコからは「恐れてはいけない。直感を信じることが大事。最良の仕事を畑で行い、カンティーナでは余分なことはしない。それで良いのだ」と教わったそうです。それは父の代から自然とプランツェックで受け継がれていたことともリンクしました。だからそういった意味では、畑での仕事は父の代から本質的には変わっていないのだと。それが正しいと信じる事ができたマルティンは一気にワイン造りの情熱を掻き立てます。話していた来客ルームにはグラヴネル以外にもクラシックな生産者のボトルがたくさん並んでいました。これらのほとんどをマルティンは訪問したそうです。

 

飾られたボトルにはナチュラルな造り手というよりもクラシックな有名生産者が多いのが印象的でした。「伝統的な仕事、ナチュラルな生産者の仕事を直接訪ねて学んできた。それが僕にとってのワイン造りの勉強だった。伝統的な生産者からしか解らない大切な事もあると考えている」と言います。この考えこそが彼のワインがただナチュラルなだけではなく説得力も兼ね備えている要因の一つだと感じました。

 

ただ、彼自身が自分のワインに納得いく半面、最初の頃は販売に苦戦したそうです。彼のワインがDOCでもなく、国際品種を使用する彼のワインはアルト・アディジェの伝統的なワインとして認められなかったのです。トレジャーは輸入の時にDOCとDOCGは全く気にしていないのですが、造り手としてはやっぱり大変なんだなと感じました。

 

お互いの自己紹介も終わり畑を見させてもらう事に。家のすぐ目の前に畑が広がっています。

 

 

外に出ると彼らの飼い猫"ミャウ"がお出迎え。マルティンに抱っこされて甘え顔(笑)

ミャウはワインのラベルにもなっているプランツェックのマスコット的存在です。

 

 

畑で常に先頭に立って歩いてくれました。畑を案内してくれているみたいで超可愛いぜ…

 

畑を歩きながらマルティンから「まずはアルト・アディジェの現状について語ろう」と説明が始まりました。

 

この場所は100年前からイタリアになった。なので現在でもドイツ語が第一言語。150年前はオーストリア、ハンガリーしていた。その影響を色濃く残した文化を持っている。まずはそれを理解する事が大事だと言いました。人種としてはローマ人、ゲルマン人がいて混ざり合った民族で形成されています。先述の"マーゾ"と呼ばれる資産システムが特に珍しく感じました。アルト・アディジェでは畑のことをマーゾと呼称しますが、これは葡萄畑に限った言葉ではなく、牛や鶏などの家畜、森、野菜、果物などを含めたパッケージ的な資産を意味します。

 

 

 

 

アルト・アディジェでは1900年代から組合が強い力を持ち続けています。農家たちが栽培する葡萄の70%は組合によってワインにされているそうです。プランツェックも昔はそうでした。1970年代になって農家が減少していきます。人々は出稼ぎのために町を出て行き、畑と葡萄だけが残り、家畜は失われていきました。その時代は組合に葡萄を売ってもあまりお金にならなかった。そういった苦しい生活環境から人々の意識が変わっていき、葡萄を売るのではなく家族経営の小さなワイナリーが少しづつ増えていきました。プランツェックも最初は2ヘクタールで開始しています。大手や組合が全て悪いというわけではないでしょうが、結果的にこの地のワインの新たな可能性となる小規模生産者が誕生していった背景です。

 

プランツェックの栽培している品種はほとんどがスキアーヴァ。ラグレインとメルローが少量。白葡萄に関しては様々な種類を栽培しています。ソーヴィニヨン、ヴィオニエ、シャルドネ、ミュラー、シルヴァネール、ゲヴュルツなどなど。畑は標高400mと700mの畑に分かれています。国際品種が含まれているのはマルティンが当初は近代的な輸出ワインを目指していた名残です。マルティン曰く「昔は現代的でいたかった、若かったからね(笑)」と言っていました。若気の至り?でもその葡萄も大切に栽培し続けて、マルティン自身が変化して醸造アプローチを変えていったことが個人的に素敵だなと思いました。伝統品種と国際品種が混ざり合いナチュラルな醸造をしたプランツェック独自のワインはこうした彼自身の変化から誕生したのです。

 

 トンネルのような仕立て。壮観です。マルティンもイケメンです。

 

 

続いてこのエリアの代表的土着品種スキアーヴァに関して少し説明してもらいました。マルティン曰くスキアーヴァは"プールサール"というジュラなどで栽培されている品種の従兄弟にあたるそうです。色が薄くタンニンも強くない繊細さがある品種で彼も好きな品種。アルト・アディジェでは1000年前から栽培されていると伝えられています。

 

しかしスキアーヴァは味わいと同じく畑でも"柔らかい"特性があり栽培が難しい品種でもあります。実が傷付きやすく、日に焼けやすい。病気、菌にかかりやすいので大変。正直農家さんにとっては手がかかる難しい品種です。ですが、1000年くらい前から栽培されている古い品種というからにはアルト・アディジェのワインにとって何かしら意味があるのでは?と考え栽培を続けています。彼のスキアーヴァは現在樹齢50年以上の素晴らしい樹があります。

 

 

アルトアディジェの畑は傾斜がエグイです。傾斜の強い畑、という領域ではなく崖に段をつけてなんとか仕立てたような畑。歩けるスペースも非常に狭くトラクターや機械が通ることが難しく、基本的に人の手作業で仕事をする場所です。そのため他のエリアに比べると格段に人件費がかかります。これだけが理由ではありませんが、アルトアディジェの小規模生産者のワインは少し高く感じる理由の一因となっています。我々の想像を超える厳しい環境から生み出された貴重なワインと思っていただけたら嬉しいです。仕立ては伝統的なぺルゴラと近代から取り入れられたスパリエーラもあります。スパリエーラは日当たりが良くなりソーヴィニヨンなどと相性が良いと感じているそうです。畑は無農薬。ビオディナミも取り入れていて500番、501番を使用しています。

 

地質に関して、2種類が混ざっています。大事なのが、斑岩地質(赤い)、火成岩、大昔活動していた火山のマグマが固まったものを含みます。玄武岩、花崗岩が多くて水はけが良く、少し粘土が混