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シチリア州アルド・ヴィオラ:来日できなかった~!!なのであらためて記事書きました。

March 3, 2020

 

 

今回は3月の来日ツアーが中止になったアルド・ヴィオラです。ほとんどのイベントは中止になりましたが3/2の東京試飲会のみ業務向けのイベントを行うことになりました。社内でも本当に難しい判断でしたが、一部の方々から心強い励ましとアドバイスをいただき開催を決意することができました。小規模になりましたがいつもよりもだいぶ集中した試飲会にできたと思います。このような混乱の中ご来場いただいた皆様には心より御礼申し上げます。ご来場できなかった皆様にも必ずまた来日の機会を作ってアルドに会ってもらいたいと願っています。

 

本来は彼から直接いろいろな言葉を聞けるはずでした。それができないのは私たちにとっても非常につらいことです。でも、だからこそアルドの代弁者として日本の輸入と販売をしているトレジャーが気合入れて活動しなくてどうする!と強く思いました。東京試飲会、一部のワイン会は少しだけ形を変えてアルド抜きでも開催することになりました。そしてアルドも私たちのそんな気持ちに応えてくれました。来日中止を決めた翌日にアルドから日本の人々に向けた動画メッセージを送ってくれました。さすがに当日話すこと全てとはいきませんが、自分の畑に出てワインや畑の説明している姿を送ってくれたのです。日本に来れないことは彼もとても残念に感じてくれていて、迅速に誠意を見せてくれたことに私たちはとても感動しました。アルドは畑、ワインに対する愛情が恐ろしく強い人です。それと同時に自身のすべてだと語るワインを好きな人、愛してくれる人には同等の愛を与えてくれる人でもあります。今回の出来事はそんなアルドの人柄にあらためて心をつかまれることになりました。

 

前置き長くなりました。本文も長くなりますが、アルドの畑、ワインをしっかりと最新情報も加えて紹介していきたいと思います!

 

 

フェウド・グアリーニの畑です。アルドは白葡萄と黒葡萄と別々のエリアに畑を所有しています。グアリーニはシラーを中心とした黒葡萄の畑です。アルカモの海岸から50km内陸に入り、谷の厳しい道を行くとこの風車塔が見えてきます。この景色が僕はとても好きです。エトナに僕は行ったことがありませんが、フェウドグアリーニもなかなかにすごい景色だと思います。雄大で開けていて、風が強く、畑も石がごつごつとしながら粘土が強く重い、とにかくここにきてアルドと話すとグアリーニのエネルギーを強く感じます。砕けた石灰岩がたくさん、そして場所によっては粘土がとても強く赤土を含みます。日照量は十分で初夏に訪問した時、日中涼しく感じるような場所、寒暖の差も激しい場所です。この畑は最初ネロダーヴォラを栽培してワインを造っていました。しかし彼の独自の感性、考えによってすべてシラーに植え替えられています。ネロ・ダーヴォラは畑に対して強かったから、と言っていました。彼のシラー愛はフランス・コート・デュ・ローヌ地方のサンジョセフのシラーから始まったそうで、同じクローンを栽培しています。以前、彼が"幸福なこと"を例えて表現するときに、"ローヌにダール・エ・リボがいること"と話していたことがあります。ローヌのナチュラルワインが本当に好きみたいです。サンジョセフのシラーはとても特徴があってとにかくエレガント。女性的なイメージです。対してアルドのシラーは中間に感じます。でもイタリアの中では特別なエレガントさ。シチリアの太陽とグアリー二の風が独特の味わいを表現しているのかもしれません。ちなみにアルドにほかに好きなワインは?と聞くとジュラのワインと言っていました。ジュラのワインのシュッと伸びるようなエネルギーの表現が大好きだそうです。ミロワールの2012年が特に最高だと言っていました。余談ですが、3年前にアルドが参加していたフォルノーヴォという町であったナチュラルワインのイベントに鏡さんが来場していました。その時に彼のグアリーニプルスを気に入って購入してくれていました。

 

 アルドが畑を開拓した時に積み上げられた石の山。初訪問した時にこの石を舐めろと言われました。"この味を覚えておいて、僕のワインの中に存在する味だから"と。

少し塩気を感じるような口の中を乾かす質感だったと記憶しています。

 

 グアリーニで育ったシラー

 

グリッロ、カタラット白葡萄の畑は弟のアレッサンドロと共同で所有、管理しています。その葡萄を分け合ってそれぞれの醸造を行っているのです。二人ともアルカモにそれぞれ個人所有の畑もあり、違う醸造所でワインを造っています。男兄弟の独特の間合いを感じますが、この距離感僕はとても好きです。なれ合わずにそれぞれの生き方を、同じワインとはいえ自立してやっているのにはきっと意味があると思います。そして二人が別々のワインを造ってくれることは僕たちの楽しみが増えることでもあります。ちなみにアレッサンドロが忙しい時はアルドが、アルドが忙しいときはアレッサンドロが畑作業という感じでサポートし合っているそうです。アルド曰く顔が似ているのでお客対応もたまにお互い逆で名乗ってカヴァーするときもあるそう…もちろん冗談でしょうね(^^)

 

 アルドを中央に左が弟のアレッサンドロ、右は妹のイザベラ。3人兄弟。イザベラはもともとは舞台女優だったそう。今はアルドの輸入関係の窓口になるなど仕事を全面サポートしています。アレッサンドロがグアリーニボトルを持っているのが素敵な写真です。こうして一緒に写るとアレッサンドロやはり末っ子感ありますね。

 

さて話がそれすぎてしまったのでワインの紹介に進みます。先日の試飲会でいろいろなVTを試飲できたので各VTについて書いてみました。ちょっとしつこい感じになってしまいますがバックヴィンテージはめったに飲めないのでデータ保存としても書かせていただきます。

 

 

ブルット2018 新ワイン入荷済み

昨年末に入荷していましたが来日に合わせてお披露目しよう!と寝かせていた新着ワインです。アルド来れませんがリリースしました!カタラット100%で造られるメトド・アンチェストラーレのフリッツァンテ。味わいは本当に軽ろやか!泡はなかなか儚いです…でもどこか複雑な雰囲気とじんわりな美味しさ。アルドらしいフリッツァンテです。たぶん寝かせたら味がもっと出てきそう。認識としては微発泡というより"超微発泡"という感じです。泡が優しく喉を潤してくれます。名前のブルットとスプマンテの味わいの表記ブリュットをかけたネーミングで、ブルット→イタリア語で醜い→醜いアヒルの子→アヒルのラベルという流れです。アルドなのにラベルが少しかわいい…希少なワインです!

 

 

クリミーソ。究極の癒しワインです。クリミーソはカタラットをプレス無しの優しいマセラシオンを行い、果皮からの様々な"情報"を繊細にワインに溶け込ませています。独特の地味深さ、繊細さ、湧き水のような身体に染み渡る優しさ。そして熟成すると奥深さがどんどん出てくる複雑な変化もある。熟成後に角が取れるというよりも、味が湧き上がってくるタイプのワインです。

 

2015年 バックヴィンテージ

初めて輸入したVT。最初からアルドの真骨頂のような地味深い旨味が優しくも純度の味わい。当時は優しく感じましたが今思い返すと以降のVTよりもやや骨太で層の厚い構成をしたワインだったように思います。今開けたらさぞ美味しくなってそう…

 

2016年 バックヴィンテージ

リリース時はどうしたんだろう?と戸惑いながらも、「今クリミーソは大きな波に乗っている。時間が必要だ」と説明。けっこう苦戦したこのVTの変化を見続けてなんとなく彼のワインの気質がわかってきたような気がしました。全体的に固くタイトなので時間をかけたい印象の年でした。現在は味が出てきてクリミーソらしい味わいになってました。

 

2017年 現行ヴィンテージ

届きたては同様のおとなしさ。でも焦ることはありませんでした。そして現在の状態とても良いです。なかなかに個性的な年でシチリアでもだいぶ早摘み。なのでワインはどことなく軽やかでオープンなワインに。若いうちから美味しく飲めると思います。

 

2018年 未輸入新ヴィンテージ

今回先行試飲しましたが、とてもはつらつとしていました。17年の収まりの良さとはまた違った、力もありつつちゃんと詰めることができた、そんな安心感のある味わい。若いけど少し待ったら集中力すごいことになりそう…

 

 

 

エジェスタ。グリッロ100%。なんとなくクリミーソと対になって考えたくなるワインです。このワインもマセラシオンはプレス無し。品種がグリッロ100%という以外にクリミーソと違う点は、2割くらいは全房発酵しているというところ。梗のアグレッシブな要素も取り入れたワインです。アルドとしては梗も葡萄の一部。可能であれば葡萄のすべてをボトルに入れたいと考えています。マセラシオン期間は6ヶ月間。グリッロのほうが果皮が強いそうで濃密な味わいになり、プレス無しでも力強さを持っているのが特徴。アルドの言う畑のエネルギーを最も感じさせるワイン。「エジェスタを造ることそのものがエネルギーを感じる体験だ」とアルドは言っていました。そしてアルドのワインの中でも特にVTごとの変化が大きかったワインです。

 

2015年 バックヴィンテージ

味の骨格、密度、直線的な力強さもあり飲み手を引っ張る貫禄がありました。このVTは僕が初めてアルドと会ったときに飲んだワインで初輸入のVT。本当に美味しくてとても印象に残っています。以降のVTに比べるといろいろと噛み合った希少なVTでしたね。今もとても良い熟成をしています。試飲会来場者の多くの方達もこのVTのエジェスタだけ雰囲気が違うと言っていました。

 

2016年 バックヴィンテージ※日本には在庫あり

なかなか一筋縄ではいかないワインでした。入荷当初は果実のフレッシュさが強く残っていて少しガスも残っていて全体的に暴れたやんちゃな感じで判断が難しいワインでした。梅っぽい風味も印象的です。とにかく時間を置きたいと思うワインでした。先日の試飲会で久しぶりにテイスティングしましたが、まだ口の中で少しだけぴちぴちとしたガスの残りを感じます。でもだいぶ穏やかになってきた甘酸っぱいような酸味と果実味の独特の美味しさが顔を出し始めていました。抜栓してから日数を待てば化けそうな雰囲気に。

 

2017年 現行ヴィンテージ

写真は2017年のエジェスタで色が褐色です。抜栓後どんどん色が濃くなります。この年も果皮はプレスしていません。この色の濃さは訪問した時に聞いたこのVTのタンク熟成の中で生まれた色なのかもしれません。17年はイタリア中部、北はとても厳しい年でした。シチリアも収穫がかなり早くなり、8月から収穫開始。できる限り状態の良い葡萄を収穫して醸造も考えに考えて行っているのが印象的でした。この年の11月に訪問した時に多くのワインが通年よりも移し替えの頻度が高いと言っていたのを先日思い出しました。アルドは「開放させて還元を取ったあと閉じてエネルギーを凝縮させるイメージ」と表現していました。So2を加えない醸造なので、酸化に行き過ぎないように注意しているとも言っていました。17年全体のオープンだけどどこかアウトローな雰囲気はこの年の醸造、熟成アプローチが絡んでいるのかもしれません。もちろん楽しめる個性だと僕は思っています。酸化も支配的にならなければ深みになりますから。現状15~17年の中で最も変化が速そうな気がしています。

 

2018年 未入荷新ヴィンテージ

どことなく2016年を落ち着かせたような味わい。ガスもありません。ギュンギュンな果実感はこれまた熟成させたいなと思わせます。もちろん若々しい魅力もあるので今飲んでも美味しいです。内面が見えるようになるにはどれくらい時間が必要かはまだわかりませんがクリミーソと同じく期待したいVT。ほかの2018年のワインも飲んで思いましたがアルド自身のボトリングまでの精度が高くなったのではないかなと思いました。また入荷したらじっくり向き合いたいです。

 

 ビアンコヴィオラはアルドの白ワインで唯一複数品種で醸造されています。グリッロ、カタラット、グレカニコの3品種。ビアンコ・ヴィオラのグリッロの50%はエジェスタの最初に出たノンプレスのジュースを使用しています。ほかはソフトプレスをしてマセラシオン2週間。基本ステンレスタンクで発酵ですが、カタラットの20%は大樽で発酵しています。これはワインの味わいに勢いをつけるために、と言っていました。それでも現状の白ワインでは一番穏やかなワイン。アルドとしてはブレンドによる実験的な考えから造られたと最初のリリース時に話していました。2017年に訪問した時に少しだけこのワインの方向性が見えてきた、と試行錯誤しているのがうかがい知れました。これからの方向性が気になるワイン第一位です。

 

2017年 現行ヴィンテージ

2回目のVT。上記の醸造で造られました。16年と同じく穏やかでしたが、クリミーソと同じく1年くらい時間が経過すると味が