Ricci Carlo Daniele リッチ・カルロ・ダニエーレ
ティモラッソ復活させたオリジナルメンバーの一角
ピエモンテ州 アレッサンドリア コスタ・ヴェスコヴァート
ピエモンテ州のトルトーナ丘で主に栽培され、ヴァルテル・マッサによりその芳香性と上質な酸などブドウとしてのポテンシャルが世間に認められた品種ティモラッソ。その地葡萄を愛する生産者の1人であり、品種を復活させたオリジナルメンバー8人の内の1人です。長期のマセラシオンを行った独創的で超熟なティモラッソを生み出す造り手がこのリッチ・カルロ・ダニエーレです。
リッチはアレッサドリア県トルトーナの丘から10キロ少し南、標高260mに位置するコスタ・ヴェスコヴァートに畑とカンティーナを所有します。1900年に初代は馬の蹄鉄などを作っていた鉄職人をしていました。1929年2代目の時に「もう鉄の時代は終わりだ!ワインをやるぞ!」と大胆な方向転換を決めて現在のワイナリーの礎となる土地カッシーナ・サン・レートを購入。このサン・レートは彼らのティモラッソ・リゼルヴァにも名前が使われています。
1929年に購入したこの土地を一度は資金難で売り手放してしまったそうですが、その後、数十年かけて再び買い戻す程リッチにとって最も重要な土地なのです。カンティーナの2部屋は、主に友人や親族中心にアグリツーズモがあります。そしてカッシーナ・サン・レートと同名のレストランも経営。ダニエーレのお母さんが腕を振るう郷土料理はワイン好きのツーリストから愛されており日々客足が絶えません。ダニエーレはワイン造りとは別にここの接客もこなしています。
ダニエーレの哲学は自然のリズムに従う事です。彼の畑は約100年に渡り、無農薬栽培で受け継がれてきました。病害への対策から銅と硫黄のみわずかに使用していますが、それらもできる限り減らし、可能であれば無くしたいと考えています。地域全体の環境にも強い情熱を持っており、放置された近隣の畑を再生させる活動も積極的に行っています。
この土地を象徴するティモラッソという品種はリースリングに通じる繊細で伸びやかな酸味があり、オイリーな風味と質感を持ちます。ティモラッソが栽培される畑では、石灰岩の石や岩がごろごろと含まれており、ティモラッソの豊富なミネラル感を生み出し、出来上がったワインからは凝縮感のある果実味と共に土壌特有のミネラルが口の中ではっきりと広がります。リッチでは90日間にも及ぶ長期マセレーションを行ったティモラッソ「ジャッロ・ディ・コスタ」、ワイナリーがある土地カッシーナ・サン・レートの名前を冠したティモラッソ・リゼルヴァの「サン・レート」などのワインがあり、長期熟成が可能でスケールの大きな高い完成度のワインを生み出しています。自然酵母で亜硫酸を抑えたティモラッソは地域でも独自性が高く、ダニエーレ自身もヴァルテル・マッサのティモラッソとは違った表現でこの品種の可能性を探求したいと語っていました。
彼のワインの中でやはりティモラッソが最も注目されますが、赤ワインもまたとてつもない可能性を秘めています。トルトーナのエリアは青みを帯びた石灰層を含むマール土壌(泥灰土)で構成されており、バローロの「セッラルンガ・ダルバ」の土質と似ているそうで、超熟タイプの赤ワインを生み出す高いポテンシャルを持つ土壌なのです。品種はバルベーラがメインでクロアティーナも醸造されています。リッチのバルベーラはしなやかさと明快な果実味がバランスよく両立されていて、ナチュラルな旨味もしっかりとあります。クロアティーナにも高いこだわりを持っており、こちらはしっかりと大樽で長期熟成した風格のあるワイン。濃密でコクが強く、やや粘性を感じる個性的な果実味が魅力です。
幼いころからダニエーレの後をくっ付いてワインや葡萄畑に親しんできた1人息子のマッティアも大人になり、農学や醸造学を学んだ経験を活かしワイナリーに貢献しています。代々受け継がれたカッシーナ・サン・レートに誇りを持ち、変わらずに、でも常に成長したいという決意を持ってダニエーレはワインを造り続けます。
リスペット
Rispetto
白/750ml
最高のバランスを備えた優秀すぎるワイン
ヴィーニャ・デル・セルという標高290mの畑。
トルトーナの石灰豊富なマール土壌(泥灰土)。
発酵はステンレスタンクで自然酵母で行います。マセラシオンは3週間。
その後アカシアの樽で4ヶ月熟成。
ノンフィルターでボトル詰め後、瓶内で最低6ヶ月間熟成してリリースされます。
●ソーヴィニヨン100%
香りがとても華やかで力強い。
蜂蜜、金木犀、セージ、レモングラス、オレガノ、シロップ漬けのレモンなどなど黄金色の外観にぴったりで秋を連想させるような香り高さ。
グラスの中でどんどんと甘い香りになり、蜂蜜や金木犀の要素が強まります。
果実が例年より強くエキスが濃い。繊細さを持ちつつもビターでタンニンもグリップ増し。
そしてドライ。いつもよりさらに料理を合わせてみたくなる堂々とした揺るぎない味わい。
デルトーナ
DERTHONA
白/750ml
土壌の個性を体感できる第一のティモラッソ
生産者の愛するトルトーナの土着品種ティモラッソを100%使用。
サン・レート以外の全ての畑の葡萄を使用。発酵はステンレスタンクで自然酵母で行います。
マセラシオンは3日間。その後12ヶ月間アカシア樽で熟成。無清澄、ノンフィルターでボトル詰め。
●ティモラッソ100%
オイリーな樹脂、セージ、レモンの香り。ドライハーブなどが混ざってかなり個性的に。
スモーキーでオイリーでありながらクリーミーな香り。
澱密度は高く旨味の詰まった味筋。酸味も綺麗に広がり、豊富なミネラル感。
余韻には張りのある酸味の奥に甘いコクがあります。品種の個性をうまく引き出した味わいです。
イル・ジャッロ・ディ・コスタ
Il Giallo di Costa
白/750ml
90日間マセラシオンした濃密なティモラッソ
発酵はステンレスタンクで自然酵母で行います。90日間という長期間のマセラシオン。
ステンレスタンクで熟成後にノンフィルターでボトリング。
瓶内で24ヶ月熟成されてからリリース。非常に濃い黄金色の外観。
ティモラッソの果実と皮の状態がベストな年のみに醸される特別なワインです。
●ティモラッソ100%
ほうじ茶、オレンジ、金柑、はちみつの濃密で上品な香り。
樹脂のような香りがそれらに混ざり合った芳醇な香り。
肉厚な果実味と豊富で張りのある酸とミネラル。皮からのタンニンと苦みの深いコク。
ティモラッソから抽出された濃密なエキスを存分に味わえる衝撃の一本です。
ドリット・アル・クオーレ
Dritto Al Cuore
赤/750ml
ラベルに惑わされてはいけない珠玉のバルベーラ
ヴィーニャ・デル・セルという標高290mの畑。トルトーナの石灰豊富なマール土壌(泥灰土)。
発酵はステンレスタンクで野生酵母で行います。マセラシオンは15日間。
その後ステンレスタンクで12ヶ月間熟成。
ノンフィルターでボトリング後に最低6ヶ月間瓶内熟成をしてからリリース。
●バルべーラ100%
カシス、イチジク、バルサミコ、ミントなどの濃いベリーと爽やかな雰囲気が合わさった抜けの良い香り。
晴れやかでフレッシュさを感じさせる。甘い余韻。
バルベーラの果実感と砕けた美味しさが丁寧に良く表現できています。
エルソ
Colli Tortonesi Rosso Elso
赤/750ml
甘い香りとまろやかな熟成感
ヴィーニャ・ヴェッキアという畑の葡萄を使用。トルトーナの石灰豊富なマール土壌(泥灰土)。
標高290m。樹齢は40年。ステンレスタンクの中で自然酵母による発酵
。古いバリックで36ヶ月間熟成。ノンフィルターで瓶詰め後にさらに熟成数年。
●クロアティーナ100%
ザクロ、バルサミコ、ローリエ、八角、クローブ、ブラックベリーの熟成感と濃い果実がまだ残った個性的な香り。
しっかりと濃厚な果実味で熟成して練り上げられた独特な質感。タンニンも豊富。かなり長い熟成期間を与えたリゼルヴァ的なクロアティーナ。
サン・レート
SAN LETO
TIMORASSO RISERVA Colli Tortonesi D.O.C/白/750ml
リッチの代名詞とも言える最高のティモラッソ
ワイナリーの象徴である"サン・レート"の畑の葡萄のみ使用。トルトーナのマール土壌(泥灰土)。
標高は290m。樹齢は40年。10月初旬の遅摘み。
ステンレスタンクで自然酵母による発酵。マセラシオンは10日間。
アカシアの樽で12ヶ月間熟成。ノンフィルターでボトリング。
瓶内でさらに12ヶ月間熟成。
●ティモラッソ100%
蜜柑、蜜蝋、樹脂、蜂蜜、蒸留酒のようなスモーキーさ。
アカシア樽の溶け込んだまろやかで力強い香り。
凝縮感のある果実のアタック。
エキス感が非常に強いですが上品で立体感のある酸があり美しい質感。
持続性の高い蜜のような余韻。