Pranzegg プランツェック

研ぎ澄まされた感性と誠実な畑仕事にから生まれる極上のワイン

イタリア アルト・アディジェ州 ボルツァーノ

プランツェックは3代目マルティン・ゴヤーが当主を務める小さなワイナリ。ボルツァーノの町からほど近く、イザルコやドロミテに向かう道の入り口に畑とカンティーナを構えます。今から約80年前、第一次~第二次世界大戦の間の時期に、祖母がこの地で”マーゾ”と呼ばれる住宅と農地セットの土地を購入します。このマーゾは組合によって管理されており、基本的には購入した家系の長男が必ず受け継ぐ(現在は少し緩和)というアルト・アディジェの特殊性を感じさせるシステムです。マルティンの家系はブドウ畑だけではなく、牛などの家畜、森、野菜、果物を含めて管理し、自給自足の生活を40年ほど送っていました。アルト・アディジェは組合が非常に強い力を持っており、栽培された葡萄のおよそ70%は組合が買い取り、ワインにされています。マルティンの家族も葡萄を販売していました。1970年ごろからマーゾの状況も変わっていきます。土地を手放し町に仕事を求めて出ていく人々が増えました。家畜たちは失われ、葡萄畑だけが残りました。このころは葡萄は安くしか買い取られない状況でした。そのため葡萄を安く組合に売るのではなく、自らワイン醸造を行う生産者が少しずつ増えてきたのです。

プランツエックでは2001年からマルティンが小規模にワインの醸造を始めました。当初は酵母やバリックを使用する近代的なワインに傾倒していましたが、畑は父の代から無農薬で栽培され続けてきました。ある時友人がナチュラルなワインを造っているのを聞き、マルティンは興味を抱きます。少しずつナチュラルな醸造を試み、2009年には自然酵母発酵とセレクション酵母に醸造を分けて行い、ワインの比較をすることにしました。答えは醸造から10カ月後に解りました。

​自然酵母のワインの方がよりテロワールを表現できると確信。それから2010年以降はすべてのワインを自然酵母発酵で行うようになり、畑ではビオロジック、ビオディナミも取り入れ始めます。自分たちの進む道をさらに明確にするために、今まで以上に他のナチュラルな生産者、そして伝統的な造り手を訪問してワインを学んでいきました。彼らの来客室にはたくさんの偉大な生産者たちのボトルが並んでいます。これらの多くを訪問して刺激を受けてきたそうです。

マルティンはワイン造りにおいて最も重要なことは畑だと言います。彼らの畑は大きく分けて2カ所にあり、一つはカンティーナの目の前にある標高300メートルの北西向きの畑。もう一つは標高700メートル近い南東向きの畑です。斑岩地質であり活火山だったころのマグマが固まってできた火成岩(玄武岩、花こう岩)を多く含みます。粘土も混ざっていますが水はけが良く、標高が高い畑では粘土質がより強くなります。栽培品種は伝統的なスキアーヴァやラグレイン、ピノ・ビアンコに加えて、マルティンがまだ近代的なワインを目指していた時の名残で、ソーヴィニヨン、シャルドネ、メルローなどの国際品種が現在も栽培されています。祖母の代から引き継いだペルゴラ仕立て、新しく仕立てた日当たりの良いスパリエーラが混在しています。プランツェックのすべての畑は森に隣接しており野鳥も多く生息しています。森は葡萄が違う植物が近くにあることで刺激と自然な涼しさをもたらしてくれます。アルト・アディジェ特有の厳しい急斜面で栽培されていますが、その作業をマルティンは土地の伝統と潔く受け入れ、父の代から続くナチュラルで誠実な仕事を継続しています。

彼のカンティーナでワインを初めてテイスティングしたときは本当に衝撃的でした!クールで淡々と話すマルティンは試飲の時もそのペースを崩しませんでしたが、最初の白ワイン”トンスル”を飲んだ時からこちらは興奮を隠せませんでした。果実の甘いニュアンスを削ぎ落したかのようなタイトで引き締まった香りと味わい。その味わいの広がりや余韻の伸びる特有のエネルギー表現がとにかく素晴らしかったのです。もちろん畑を見て会話をしている時から期待は高まっていましたが、これほどまでに研ぎ澄まされた質感のワインはアルト・アディジェではもちろん、これまでのイタリアの旅の中でも出会ったことがありませんでした。この質感はその後飲んだ全てのワインに共通して表現されていました。ゲヴュルツ・トラミネールの”カロリーネ”はとてつもないスケールを放ち、スキアーヴァを用いた赤ワイン”レッジェーロ”と”カンピル”は華やかさと堅実さを見事に表現しています。これがスキアーヴァの理想像なのではないか?とすら思いました。

マルティンは自身のワインについて「僕は魔法使いではない。すべては畑から生まれているんだ」とクールに落ち着いて語りました。ですが、畑、醸造での自然で健全な仕事を行い、それぞれの畑と樹の個性をしっかりと見極めワインに導いているのは彼なのです。若い畑のエネルギーがまだ溌溂とした葡萄はその若さを生かした方向に、樹齢が高い畑の活力は弱まってきているが複雑味が増し円熟してきた葡萄は果皮も長く取り入れるなど、アプローチをしっかりと変えています。ナチュラルな仕事だけではなく、畑とワインを結び付けた彼自身のセンスがこの地で特別に輝くワインを生み出した大きな理由になっていると感じました。

クールに見えるが毅然とした強い意志と類まれなセンスを感じるマルティンと彼の極上のワインにすっかり魅了され輸入を行う決心をしました。アルト・アディジェの真の力を世界に知らしめるスケールのあるワインに衝撃を受けるでしょう。

トンスル

プランツェックの畑で一番標高が高い葡萄を使用。樹齢は約29年。4品種を同時期に収穫して混醸します。2つのセメントタンクで発酵、1つは皮と梗無し、1つは一度除梗してからモストに梗を投入し果皮と共に12時間マセラシオン。全体的にソフトプレス。温度管理無しで8~9日発酵させます。熟成は半分を大樽、半分は澱と共にセメントタンクで熟成。So2はボトリング前に極少量の添加。香りも味わいも研ぎ澄まされたようなワイン。

ミュラー・トゥルガウ50%、ピノ・ビアンコ20~30%、シャルドネ、シルヴァネール少量

甘い要素が削ぎ落とされたビターで張りのある香り。柑橘と石灰が溶け合ったミネラリーなニュアンス。火山性土壌の個性を余すことなく感じる事ができる洗練されたアロマです。

研ぎ澄まされた特有の果実味。ドライで酸味とタンニンと共に旨味を噛みしめられるようなたっぷりのミネラルを感じる存在感のある味わい。 口の中での存在感とは逆に身体に対しては沁み渡るような優しさも感じられます。

カロリーネ

マルティンの娘の名前を付けたワイン。畑はカンティーナの目の前標高300m。4品種を3回の収穫に分けて混醸します。60%を果皮と共に12日間マセラシオン。40%を果皮無しで大樽発酵。その後セメントタンクと大樽で21ヶ月間熟成されます。So2は移し替えとボトリング前に極少量の添加。果皮のニュアンスが強く野性的な雰囲気。マルティンは熟成していくポテンシャルがあり、畑もワインも常に変化していると考えています。                       

ソーヴィニヨン35%、シャルドネ35%、ヴィオニエ15%、マンツォーニ・ビアンコ15%

大樽のクラシックな香りと溶け合ったドライフルーツ、ライチを連想させるトロピカルなアロマ。ローストされたヘーゼルナッツやアーモンドとナツメグのスパイス感。複雑でとても魅惑的で惹きつけられるような引力のある香り。

プランツェック特有の鋭くしなやかなエネルギーを表現しつつ、暖かみを感じる熟れた果実感を肉付けしたような力強い味わい。中盤から酸味とミネラルと塩味が押し上げてくるように口の中に広がり、長い余韻と共に味わいの層 の厚さを存分に堪能できます。

GT

車好きのマルティンがグランツーリスモとゲヴュルツトラミネールの頭文字を合わせて名づけた極少生産のワイン。標高500メートルの畑。一般的な栽培に反してできる限り日にあたらないように葉を残しての栽培。収穫も他の品種よりも早摘み。一度除梗してからモストに梗を全て投入し果皮と共にステンレスで5日間マセラシオン。栗のトノーで3ヶ月間、セメントタンクに移し替えてさらに熟成。温度管理無し。So2は瓶詰め前に極少量。                    

ゲヴュルツ・トラミネール100%

溢れるような超熟した黄桃、パッションフルーツなどのトロピカルな香りとレモンの葉、ビターな要素が充満。エキゾチックなスパイスを含んだ華やかでとても複雑なアロマです。ゲヴュルツらしいアロマティックな魅力を備えつつ大人でビターな雰囲気が混然一体となった特異な存在感。

凄い集中力を感じる味わい。ソリッドな果実の中にドライな酸とタンニンが溶け込んだ膨大なエキス感。ゲヴュルツの固定概念を打ち壊すようなプランツェッグならではの表現力。驚愕の美味しさです。

ミャウ!

火山性地質で、斑岩、玄武岩、花崗岩を含む土壌。平均樹齢は約50年のスキアーヴァ。自然酵母発酵。36時間マセラシオン。発酵終了後にプレスしてボトリング。残糖を元に瓶内で再発酵させるメトド・アンチェストラーレ。4ヶ月間澱と共に瓶内で熟成して最終的にズボッカトゥーラ(澱抜き)。王冠キャップを付けます。淡いルビーピンクで、澱を含んだ濁りのある外観。                     

スキアーヴァ100%

すりおろしリンゴ、ミカン、芳ばしい酵母感。とにかくフレッシュで爽やかフルーティーな香り。

澱を含んだ液体から旨味や鉱物感を優しくもはっきりと感じます。余分な果実の重みを削ぎ落とした飲み心地を聞極めた質感。 

ヴィーノ・ロッソ・レッジェーロ

トンスルと同じく標高が高い畑。樹齢30年の粒も大きく力強い樹のブドウを使用。除梗してマセラシオン3日間。その後果皮と分離させてモストの中にカロリーネのヴィナッチャを加え更に発酵。2/3はトノー、残りはステンレスに移し替えて熟成。"赤ワインの色と味があるワインだが白ワインのような繊細さを持つワイン"。混醸されていますが、マルティンの思うスキアーヴァの良さが特に素晴らしく表現されています。

スキアーヴァ60%、ラグレイン30%、メルロー10%

クランベリーやラズベリーなどを含むたくさんの果実の香り。フレッシュで華麗な部分と、土やミネラルとスパイスが溶け込んだ美しいバランス感がとても素敵です。

エレガントで繊細なキメの細かい質感と自然な旨味が融合。黒葡萄の良い部分と白ワインの華やかさを抱き合わせた様な表現。上質で芯のあるワイン。    

カンピル

所有する中で一番樹齢の高い50年以上のスキーアヴァの樹から取れた葡萄を使用したワイン。収穫した葡萄は一度除梗してからモストに70~80%の梗を入れて果皮と共に大樽と小樽の二つに分けて35日間マセラシオン。その後大樽、セメントタンクの順に計22ヶ月間熟成。マルティンの描くスキアーヴァの理想を追い求めて造り続けられるワイン。プランツェックの生み出すスキアーヴァは信じられない程のエネルギーを醸しだしています。

スキアーヴァ100%

色気を感じる熟した深いチェリーとプラムの香りがベースに感じられ、甘草とスパイス。凄くエレガントで艶やかな複雑で様々な要素が溶け込んだ深い極上のアロマ。

溢れる熱量とそれをまとめ上げる驚くほど繊細な果実の曲線美。淡く美しい外観の中に膨大なエキスを秘めた格別の美味しさ。身体に良く馴染みながら口の中で途絶えない複雑な余韻。

ラウレンス

火山性地質で、斑岩、玄武岩、花崗岩を含む土壌。標高は低いが一番力強い印象の畑。一度除梗してから70%の梗と共に大樽で自然酵母発酵。4週間マセラシオン。大樽と小樽で25ヶ月間熟成。ラグレインは野生に近い品種。味わいも野性的。シラーの従兄弟。酸味と活力に満ちた味わい。

ラグレイン100%

濃縮されたようなフルーツやスパイスの香りが溶け込んだ野性的な雰囲気。スミレ、ダークチェリー、土とシナモン、バルサミコなどを感じさせます。

濃いブラックベリー、練られたまとまりを感じる質感で固さや重さはなく意外に繊細でしっとりとした味わい。鉄分やミネラルが溶け合ったやや苦みのある独特の余韻。

フオーリ・セリエ

火山性地質で、斑岩、玄武岩、花崗岩を含む土壌。樹齢は60年以上。大樽で自然酵母発酵。4週間マセラシオン。ステンレスで1年、古いトノーで2年、瓶内でも最低2年熟成させてからリリースされるリゼルヴァ・スキアーヴァ。車好きのマルティンが一番想いを込めたワイン。フェラーリなどで有名になったFuori Serie=特別シリーズ、と名付けました。希少な超熟スキアーヴァ。南チロル内でのスキアーヴァから偉大な熟成ワインが生み出せるのか、という探求に答えるワインかもしれません。

スキアーヴァ100%

とても柔らかいバニラの甘いニュアンス。赤い果実、革、桜、バルサミコのような複雑な香り。とても自然な雰囲気で熟成感があるのに重々しさがなく非常に華やか。

しっとりとしつつ高密度の赤い果実感、素晴らしいタンニンと酸味、地域特有のミネラル感。現状でも十分に素晴らしい美味しさに満ち溢れていますがまだまだ熟成も可能な特別なスキアーヴァです。

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