Moschioni モスキオーニ
豪華絢爛たる圧倒的な赤ワインを生み出すフリウリの巨匠
イタリア フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州 チヴィダーレ・デル・フリウリ
フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州ウディネ県チヴィダーレ・デル・フリウリにワイナリーを構えるモスキオーニ。創立は1900年頃にもさかのぼり、非常に歴史のあるワイナリーです。現当主のミケーレは1990年にワイナリーを引き継ぎ、現在は息子のヴァレンティーノと共に畑仕事と醸造を見ています。娘のサブリナも経理関係、顧客対応をしており、家族でワイナリーを切り盛りしています。
世界の白ワインの中でも最高峰と名高いフリウリで、モスキオーニは土着品種を使用した赤ワインのみを生産する珍しいワイナリーです。
彼等はとても高いポテンシャルを誇る土着品種「ピニョーロ」を所有しています。ピニョーロは20年前くらいまではモスキオーニを含めて3蔵しか所有者がいなかった超希少品種です。古いピニョーロで樹齢100年になる古木もあります。
所有する畑は標高150m、南東向きの土地に約14ha。4つの畑に分かれており、仕立ては全てグイヨ。除草剤や乾燥剤等、化学薬品を一切使用せず無農薬栽培を実践。畑に悪影響を及ぼす機械等は一切使用しないという一貫した考えを持っており、2014年にはビオロジックの認証を取得。ブドウに含有する命(酵母)を活かすように心がけています。
収穫までの工程は全て手作業で行われ、ブドウは例年、9月中旬~10月終りにかけて収穫されます。収穫量を制限して1つの枝から1キロ以上は収穫しないという徹底ぶりです。
収穫後にブドウは軽いアパッシメントを行います。風通しの良い部屋の小箱の中で、追熟させながら5~12日間おき、2~3%ほど水分を飛ばしワインに力強い果実味をもたらします。
この考えはヴェネトのワインの巨匠「ダルフォルノ・ロマーノ」にワイン造りを学んだ事がきっかけだったそうです。
追熟後にプレスされた果汁は、6,000リットルの開放型大樽に移され、自然酵母により自然発酵。温度コントロールは行わずあくまで自然にワインは醸されます。収穫の遅さから、11月に入ってから発酵を開始するワインもあり、温度コントロール無しの自然発酵は非常に難しいですが、カンティーナの壁の内側に温水を流す事により極端に室内が冷えないように工夫をしています。
マセラシオン中の「フォラトゥーラ」(櫂入れ、醗酵によって浮き上がった果帽を突き壊し攪拌)は手作業で行われます。
この作業はかなりの力を必要とし、非常に大変な作業ですが、こうすることでワインのガス抜き呼吸を自身の感覚で行うことができます。マセラシオンは18~25日間(その年のブドウの状態や気候により変動)行い、翌春全てのワインでマロラティック発酵を行います。So2はボトリング前のみ添加を行い、最低限の量に抑えられています。
モスキオーニのワインはミケーレ曰く「ボルドレーゼ」だと言っています。個性豊かなフリウリ土着品種を用いて堅牢なタンニンを有するフルボディのワインを造ります。全てのワインは大樽内で最低3年間熟成され、その後ノンフィルターで瓶詰め、瓶内でも最低2年間の熟成を行ってからリリースされます。トータルで5年間という長い熟成期間ではありますが、彼のワインはその熟成ですらまだまだと言わんばかりのパワフルな果実味とタンニンを有しており、そのポテンシャルは計り知れません。
一般的なボルドーワインとの決定的な違いは彼のワインはナチュラルに造られているという点です。大きなスケールを持ちつつどこか気取らない素朴な美味しさを感じるのは自然酵母による畑の情報の抽出によるものだと考えられますし、亜硫酸の添加も彼の考える最低限の量に抑えれている為、嫌な固さはありません。
栽培品種は国際品種のカベルネ、メルロー、フリウリ土着品種のレフォスコ、スキオペッティーノ、タッツェレンゲ、そしてピニョーロです。
モスキオーニのワインを語る上で絶対に外せないのがピニョーロ。この極上の黒葡萄品種最大の特徴は、「暴力的」とまで表現されるタンニンの強さ、それを包み込む濃密な果実味です。
ボルドーではブレンドによりバランス、ワイン全体のクオリティーをあげていますが、ピニョーロは単体の品種で全て完成させていると言っても過言ではない素晴らしさを持っています。
華やかで濃密な香り、アフターに押し寄せるタンニンも、それに負けない果実味の充実感により爽快感すら感じます。
熟成期間、完成度、品種の希少性などの理由から決して安くはない価格ですが、フリウリの偉大な赤ワインとして是非飲んで頂きたいワインです。
白の名醸地において赤ワインで勝負するモスキオーニ、そのオーナーの人柄も非常に変わっています。とても陽気で明るく、どこか子供っぽさを感じるユニークな男。偉大なワインと呼べるモスキオーニのワインのテイスティング時も、いつも楽しそうによく喋り、ニコニコとしていました。
彼はアンティークや歴史のあるものが大好きで、家具や器具にも強いこだわりを持っています。テイスティング途中から自慢のBerkelのスライサーを使い、エプロン姿でサンダニエーレ生ハムを鼻詩を歌いながらスライスしてくれます。
フリウリという底の無いワイン産地の偉大さとその中で至って陽気にマイペースにふるまうミケーレを見て、そのギャップもまたモスキオーニの魅力だとおもいました。
ロッソ・モスキオーニ
ROSSO MOSCHIONI
COF Rosso 赤/750ml
チェルティコ、レアル、レフォスコの3キュベをブレンドして造るお得なワイン。
収穫は9月中旬。
開放式大樽内で天然酵母による発酵。マセラシオンは15~25日間。
熟成は使用2回目のバリックで1年、大樽で1年熟成。無清澄、ノンフィルターでボトリング。
瓶内で最低6ヶ月以上熟成。複数のワインをブレンドしたことによる見事なバランス感。
他のモスキオーニよりも比較的若いVTから楽しめる嬉しい1本です。
●チェルティコ40%、レアル30%、レフォスコ30%
ブラックベリー主体に緑茶、ヨモギ、コーヒー、土や皮のニュアンスが溶け込んだ深く複雑な香り。
まとまりのあるたっぷりジューシーな果実味。
フレッシュな酸味とのバランスも非常に良く、タンニンはモスキオーニの中では強くなくなめらかな質感。
レフォスコ リゼルヴァ
REFOSCO
COF Refosco dal Peduncolo Rosso Riserva 赤/750ml
モスキオーニならではの驚くべき凝縮感のレフォスコ
チヴィダーレとプレポットの畑で栽培されたレフォスコ100%使用。
9月中旬に手積みで丁寧に収穫。ステンレスタンクにて温度コントロールを行わずに天然酵母で発酵。マセラシオンは18日間。フォラトゥーラは定期的に行います。
熟成は新樽60%、残り40%は古樽で1年、その後スロヴェニア産大樽で1年、ステンレスタンクで1年。無清澄、ノンフィルターでボトリングしてさらに瓶内で最低2年間の熟成してからリリースされます。モスキオーニのワインの中でのもっともフレッシュで柔らかいワインです。
●レフォスコ・ダル・ぺドゥンコロ・ロッソ100%
サクランボ、チョコレート、リコリスなどが溶け合ったミルキーで良く練れた果実の甘い香りが充満。土や革のややワイルドな要素も感じられますが、果実の甘い香りと溶け合い丸みのある優しさいアロマを感じます。
フルーティーで丸みのある明快な果実味。フレッシュですがコクが強く、酸味も心地よく口の中に広がります。タンニンは豊富ですがざらつきは無く、酸と共に果実の豊かな余韻を引きたてます。
ビゼスト
BISEST
COF Rosso Bisest 赤/750ml
フリウリの2大品種をブレンドした贅沢なワイン
9月中旬~10月初旬それぞれの品種の熟度を見極めて収穫。
全て品種ごとに開放式大樽内で天然酵母による発酵。
マセラシオンは品種ごとに期間は違いますが、15~25日間行われます。
新樽で1年間、大樽で2年間。無清澄、ノンフィルターでボトリングして瓶内で最低6ヶ月間(結局このVTは2年近く)熟成してからリリースされます。絶妙なブレンドによるバランス感が備わっています。正直価格以上のスケールを持ったワインです。
●ピニョーロ50%、スキオペッティーノ50%
クラシックな大樽の雰囲気と濃密で深いカシスやラズベリーリキュールのような甘い要素と、スパイスやハーブがミックスされた圧倒的なアロマ。堂々とした風格を感じます。
甘味、旨味、酸味が濃縮された驚くほど肉厚で継ぎ目の無い果実味と、はちきれんばかりのタンニンがこれでもかと押し寄せます。
飲み手にグイグイと迫りくるような勢いを持つ異様な魅力を持つ危険なワイン。
チェルティコ
ROSSO CELTICO
FRIULI COLLI ORIENTALI 赤/750ml
甘く官能的な熟成感、香り高い別格の味わい
樹齢は30~70年。粘土質、ポンカ土壌。9月中旬に収穫。開放式大樽内で天然酵母による発酵。新樽と2回目のバリックで1年熟成、その後大樽で54ヶ月間熟成。
瓶内でも最低6ヶ月以上熟成させます。ボルドレーゼとして驚くべき完成度。
カベルネ×メルロー×モスキオーニ、美味しいわけです。"CELTICO"とは「ケルト人」の意。
●メルロー50%、カベルネ・ソーヴィニヨン50%
超熟した干し葡萄の甘い香りが凝縮。
イチゴ、ラズベリージャム、チョコレート、バラやシナモンなど様々な要素が甘く溶け込んだ熟成感のある複雑な香り。
濃厚でたくましい果実感とタンニンですが、熟成による甘みがそれらを包み込み荒々しさを感じさせません。骨太なワインが熟成した美しい味わいを存分にお楽しみください。
レアル
ROSSO REÂL
FRIULI COLLI ORIENTALI 赤/750ml
希少品種タッツェレンゲ主体、鋭いタンニンも熟成でまろやかに
砂利の混合土、粘土質、ポンカ土壌。9月中旬に収穫。開放式大樽内で天然酵母による発酵。
新樽と2回目のバリックで1年熟成、その後大樽で4年間熟成。
瓶内でも最低6ヶ月以上熟成させます。「舌を切る」という意味を持つタッツェレンゲ主体。
鋭いタンニンを和らげるためにカベルネ&メルローと混醸し、長い熟成期間を与えています。
●タッツェレンゲ50%、メルロー25%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%
ブラックチェリーやプラムの熟した甘い香り。クローブやコリアンダーのスパイス感。
樽熟から来るカカオ感もうまく溶け込み魅惑的。
品種の名前からして切りかかるようなタンニンを予想されますが、モスキオーニが貫く長い熟成、カベルネとメルローとの混醸のおかげで甘く、優しくすら感じる魅惑的な味わいに。
スキオペッティーノ リゼルヴァ
SCHIOPPETTINO
COF Riserva赤/750ml
モスキオーニ曰く「マンマミーヤ!!」な個性爆発ワイン
フリウリの超個性的土着品種スキオペッティーノ種(リボッラ・ネーラとも呼ばれる)を100%使用。10月初旬~中旬にかけて少し遅積みで収穫。開放式大樽内で天然酵母による発酵。
新樽80%、残り40%は古樽で1年、その後スロヴェニア産大樽で1年、ステンレスタンクで1年間熟成。無清澄、ノンフィルターでボトリングしてさらに瓶内で最低2年間の熟成してからリリースされます。特有の溢れだすスパイスの香りを持つ壮大なスケールを持つワイン。
名前はスコッピアーレ(爆発する)という言葉から由来。
●スキオペッティーノ100%
スパイス、黒コショウ、スキオペッティーノ特有の木質な香り。
ブラックベリーの完熟した甘いリキュールのような雰囲気。
アタックは濃い印象ですが、奥の方でラベンダーのような爽やかさも感じられ華やか。
とにかく個性的です。
ものすごい凝縮感のある果実味。他のワイン同様タンニンと酸は大量にあるのですが、一番溶け込んでいる印象。口の中で様々な風味が炸裂。
陰干ししたブドウのほろ苦く甘い旨味とタンニンがとても長く続きます。
ピニョーロ リゼルヴァ
PIGNOLO
COF Pignolo Riserva 赤/750ml
世界を驚愕させたモスキオーニ最上の偉大なワイン
モスキオーニの畑で栽培される品種の中で最も重要な品種といえるピニョーロ100%で造られた最上級ワイン。樹齢の高いブドウで100年の古木。10月初旬~中旬にかけて少し遅積みで収穫。
開放式大樽内で天然酵母による発酵。
新樽で1年、その後スロヴェニア産大樽で1年、ステンレスタンクで1年間熟成。
無清澄、ノンフィルターでボトリングしてさらに瓶内で最低2年間の熟成してからリリースされます。
モスキオーニのワインの中で最もエレガントで最も暴力的な驚愕のワイン。
●ピニョーロ100%
プラム、桃、杉、ミルクチョコレート、コーヒー、ドライハーブなどの香りが飛びかかってくるような感覚。とにかくアグレッシブで魅惑的なアロマに打ち抜かれます。
グラスで時間が立つと、肉(燻製ベーコン)干しイチジクのような独特の要素が現れ、向き合えば向き合う程様々な表情が見れます。
モスキオーニのワインの中で間違いなく一番美味しい。ピニョーロ特有の暴力的なタンニンとそれに負けない濃厚で旨味が凝縮した甘い果実味が口の中でせめぎ合います。
とにかく強いのにエレガントにも思える優美で長い余韻を最後に感じる。
想像を超えた美味しさと凶暴性に心を奪われます。