Giovanni Iannucci ジョヴァンニ・イアヌッチ

伝統を守りつつ異彩を放つベネヴェントの新星

イタリア カンパーニャ州 ベネヴェント グアルディア・サンフラモンディ

弱冠30歳のジョヴァンニ・イアヌッツィ。2012年に始めたばかりのこの若き造り手はカンパーニャ州のグアルディア・サンフラモンディにワイナリーを構え、父から譲り受けた約2haの畑でワインを造っています。

イアヌッツィ家はジョヴァンニの祖父の代からブドウ栽培を行っており、共同組合への販売や、自家消費用ワインとして瓶詰めしていました。そのような中でジョヴァンニは、昔からの伝統を守りつつ、いかにテロワールとブドウの特徴を伝えられるかを念頭に置いたワイン造りを始めました。

海抜200mの立地にあるジョヴァンニの畑は、地中海からの温暖な風と山からの冷たい風が良く通り、ブドウ栽培に適切なミクロクリマを生み出します。土壌は石灰質に粘土質が混じり、豊富なミネラルを備えたブドウが育ちます。

 

畑での作業は現在はジョヴァンニと父が2人で行います。祖父の代から一切の肥料や農薬は使われず、使用するのは必要最低限の銅と硫黄のみです。自然なワイン造りはジョヴァンニにとって、祖父の代から受け継がれている当たり前の方法なのです。

彼の畑では3つのブドウ品種が栽培されています。

1つ目はカンパーニャ州を代表するファランギーナ種です。セメントタンクとトノーで自然発酵させ、2日間のマセラシオンを行います。外観はやや濃い目の黄金色をしており、ファランギーナのフルーティーな味わいと土壌の豊富なミネラルをたっぷりと備えています。ドライですが芯のある豊潤な果実味を持っています。

 

そしてもう一つは最近注目を集めている、バルべーラ・デル・サッニオ種です。このバルべーラは、ピエモンテ州のバルべーラと間違われますが、全く関係の無いブドウ品種です。この地で昔から栽培されていた土着品種で、華やかな香りと飲み心地の良さ、繊細な余韻が評価され、絶滅しかけていたこの品種を栽培する生産者が近年増加してきています。ジョヴァンニのバルべーラはとても柔らかく、喉を滑るような絶妙な質感があり、この品種の個性を十二分に発揮していると言えます。

 

最後の1つはトレッビアーノ種です。彼のワインの中でもひと際輝いた個性を放つユニークなワインはトレッビアーノ・トスカーノ種から生み出されます。カンパーニャでトレッビアーノという品種はなかなか珍しく思われますが、この地域では昔からトレッビアーノとマルヴァジアが栽培されていました。しかし、現在ではファランギーナやアリアニコの国際的な人気もあり、多くの樹が植え替えられたのです。植え替えをしていないジョヴァンニ達からすれば、土着品種のような感覚でワインを造っています。彼の畑のトレッビアーノにはボトリティス菌が付く年があり、黄金色の美しい外観と溢れんばかりの香りを放つ素晴らしいワインが生み出されます。

初めてのテイスティングの時に、他のカンパーニャのワインとは明らかに異なる鮮烈な個性とエレガンスに、驚きを隠せませんでした。ボトリティス菌の発生条件には、適度な雨量と昼夜の寒暖の差の大きさ、そしてある程度の湿気が必要となります。しかし彼らの地域ではそれほどに湿気が無い為、この貴腐菌付きのワインを造れるかどうかは、毎年収穫前の時期まで分かりません。今回本当に少量ですが、このトレッビアーノを分けてもらえたのはとても幸運な事でした。

 

また、ジョヴァンニのワイン造りでさらに特徴的なのが、唯一生産本数のまとまっているファランギーナ(といっても僅か3000本程)以外は熟成を「ダミジャーノ」と呼ばれる大きなフラスコ型の容器を使用しています。大体30~50lくらいのサイズがあり、自家消費ワインの発酵、貯蔵や量り売りなどで使用される容器です。イタリアで生活をしていた事のある方々は馴染みがあるかもしれません。トレッビアーノは発酵&熟成、バルべーラは熟成時に使用しています。生産本数が少ないので大きなタンクを使用しなくても良いという事から、昔ながらのこの容器を使用し続けているそうです。全てのワインは自然発酵、ノンフィルターで清澄作業を行わずに瓶詰めされます。So2の添加はブドウプレス時と瓶詰め時に極少量を添加するだけです。ナチュラルな造りですが、ワイン自体は非常に端正でエレガントな状態に仕上がっています。

カンパーニャらしい華やかで豊潤、そして引き締まった酸味とミネラルがあり、まさに土地の個性を具現化しているような素晴らしいワインです。

まだ30歳と非常に若い生産者であるジョヴァンニですが、彼のワインからは人々の心を惹き付ける確かな魅力を感じます。彼のワインがこれからどうなっていくのか目が離せません。

カンポ・ディ・マンドリエ

ジョヴァンニの主力ワイン。ワイン名は街にある道の名前で、「家畜の群れの広場」という意味より自然をイメージできることから。10月上旬に手積みで収穫されたファランギーナをセメントタンクとトノーに分けて自然発酵。マセラシオンを2日間行い、その後シュール・リー状態でセメントとトノーそれぞれで12ヶ月間熟成。ボトル詰めの際の清澄作業とフィルタリングは行わずに最低1ヶ月の瓶熟成後リリース。So2はプレス後と瓶詰め前に極少量。

明るい黄金色の美しい外観をした密度の高いファランギーナです。

ファランギーナ100%

白い花と麦わらのような香ばしさ、熟した果実と蜜のニュアンスがあります。ハーブの爽やかさとエキゾチックなスパイスの香りなどさまざまな表情を持っています。

マセラシオンによるボリューム感と葡萄本来の完熟した果実味に加え、土壌から来るミネラルと上質な酸味があり、バランスに優れています。タンニンは極僅かに感じる程度でしつこくなく、旨味のあるドライな余韻があります。

ラ・フォルマ

ジョヴァンニの所有する畑の中で最も日当たりと風通しが良く、1株で1.5kgという少量で凝縮した葡萄が自然に育つ特別な畑のファランギーナを使用。収穫は糖度の高さよりも酸度の充実を意識。自然酵母でステンレスタンク内で発酵。15日間の長いマセラシオンを行います。熟成はダミジャーナで2年間澱と共に熟成。より深くファランギーナのたくましさ、豊潤さを追求するために造り分けた特別な超少量生産ワイン。

ファランギーナ100%

熟れた果実の深くビターな香りが充満。煮詰めたリンゴ、蜜、セージのようなドライハーブが混ざり合った長期マセラシオン由来の豊潤な雰囲気。品種の印象を覆す厳格な存在感。

ファランギーナとは思えない骨格、凝縮感、そして逞しさ。エキス感の強い押し寄せるような果実味と酸とタンニンの充実感。徹底的に力強いファランギーナを目指したアプローチがしっかりと表現され、風格すら感じる味わい。

フラニェート

条件がそろった年にしか醸造できない貴腐ブドウを醸した特別なワイン。ワイン名はトレッビアーノの畑の名前から。10月下旬に手摘みで収穫され、ダミジャーナで自然発酵。マセラシオンは行いません。その後シュール・リー状態のまま、ダミジャーナで12ヶ月間熟成。ボトル詰めの際の清澄作業とフィルタリングは行わずに最低1ヶ月の瓶熟成後リリース。So2はプレス後と瓶詰め前に極少量。濃い黄金色で驚くほど豊潤な香りと果実味です。

トレッビアーノ100% 

貴腐ならではの溢れんばかりのフルーティーなアロマがあります。アプリコットや蜂蜜、熟したパイナップルやレモンのシロップ漬けを思わせる濃密な香り。

貴腐付きブドウを、残糖感を残さずにしっかりと発酵しているドライな味わい。非常にコクのある豊潤で滑らかな果実味。充実したミネラルとキュッとした酸もたっぷりと感じられます。余韻は長く、華やかで繊細な香りが口の中でも広がります。決してくどい味わいではなく、スーッと身体に馴染む飲み心地も備えた素晴らしいワインです。

コスタ・デッレ・ヴィオレ

ピエモンテ州のバルべーラではなく、この地で昔から栽培されていた土着品種。ワイン名は街にある道の名前で、「スミレの主脈」という意味。このバルべーラ種を用いたワインの香りとのイメージから名付けられました。10月下旬に手摘みで収穫され、プラスチック製開放式樽で発酵。マセラシオンは20日間行われ、その後シュール・リー状態のまま、ダミジャーノで6ヶ月間熟成。ボトル詰めの際の清澄作業とフィルタリングは行わずに最低1ヶ月の瓶熟成後リリース。So2はプレス後と瓶詰め前に極少量。華やかな香りと独特の余韻が楽しめる飲み心地の良い赤ワインです。

バルべーラ・デル・サンニオ100%

深く強いアロマがあり、甘いブルーベリーやスミレなどのフレッシュで華やかな香りがグラスから溢れます。

非常に柔らかくスムーズで引っ掛かりの無い飲み口ですが、甘いベリー感が強くたっぷりな果実味です。ミネラルと旨味要素も程良くあり、繊細な余韻が楽しめます。

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