Alessandro Viola     アレッサンドロ・ヴィオラ

シチリアの海を愛し、葡萄畑に熱い情熱を秘めた造り手

イタリア シチリア州 トラーパニ アルカモ

アレッサンドロは元々トラーパニ県アルカモのブドウ農家で生まれ育ちました。家族の作るブドウは大きな組合に売り葡萄を提供するだけで元詰めをしていませんでしたが、彼は3歳の頃から畑での仕事を手伝っており、幼い頃から自身のワインを作る夢を持っていました。

ワイン醸造学を学ぶ為、醸造学校へも通いました。ですが醸造学校では現在彼が行っている自然なワインを作る方法は教えられませんでした。

学校での教えとは反面的に、ブドウの中には優れたワインを作る為に必要なものが全て備わっている事に気付きます。逆に介入をできる限り排除した造りを追い求めていきたい、という欲求を強くするのです。

卒業後はピエモンテの大手ワイナリー、ジョージアの”Badagoni”、エトナの”Patria”で現場経験を積んでいきます。ジョージアでは長期マセラシオンした白ワインと初めて出会いました。その手法は現在の彼の白ワインにも採用されています。ですが、彼の働いていた造り手のワインには多量のSo2が添加されていた為、飲み続けるうちに身体が受け付けなくなっていったそうです。その出来事が彼のSo2を制限したワイン造りの考えをより強くさせます。
エトナのワイナリーでは品質の研究職員として勤めていましたが、大規模の生産者だった為結局は自身の考えるようなワイン造りは実現できず、そのワイナリーも離れる事になりました。

程なくしてアルカモへ帰郷しサーフィンを通じて友人となった”ガエターノ”とUva tantumを立ち上げる事になります。Uva tantumでは自身の考えであった化学薬品を排除した無農薬での畑仕事、添加物を完全排除したワイン醸造を具現化する第一歩を踏む事ができ、シチリアの自然派ワインの新たな可能性を打ち出しました。

Uva tantum で初めてシチリアの大地でワイン造りを開始したアレッサンドロ・ヴィオラはさらに自身のワイン造りを追求する為に、新たに自身の畑と名前を使ってワイナリーを立ち上げます。

アレッサンドロの畑はUva tantumの畑とは少し離れたアルカモにあり、標高200mの丘にある”ピエトロ・リノーサ”と標高400mの”ファストゥケラ”にそれぞれ畑を持ちます。どちらの畑も付近で他の農業が行われていない為、農薬に害されていない昔から自然栽培で守られてきた畑です。ピエトロ・リノーサは親から受け継いだ畑でグリッロとネレッロマスカレーゼを、ファストゥケラは友人から譲り受けた畑でネロダーヴォラとカタラットが植えられています。

彼の造るワインは全体的にシチリアの濃いワインというイメージとは真逆のスタイルです。ある程度の標高の高さによる寒暖の差も要因ではありますが、彼の目指す繊細でしなやかな味わいを生み出せる状態のブドウを収穫する出来る事が一番大切な事だと彼は言い切ります。

収穫の1週間程からはブドウのチェックを毎日行い、そのブドウは10kgは食べると言います。自身で味わいをチェックし、醸造後のワインと合致した時が彼の中での”ブドウの完熟”だと語りました。

彼のワインのエチケットのデザインはUva tantum時代からパートナーのルチアが描いています。彼女は様々な部分でアレッサンドロを全力でサポートをしています。その安心感からアレッサンドロは良いワインを生み出せているのだと思います。彼ら同士の愛情、そして故郷、畑、ブドウに対する愛情がワインに込められています。

アレッサンドロの現在のラインナップは、彼らの愛犬”フフ”が描かれているネロダーヴォラ主体の”ノート・ディ・ロッソ”、グリッロをマセラシオンしてそのポテンシャルを存分に引き出すことに成功した素晴らしい白ワイン”シンフォニア・ディ・グリッロ”。

カタラット100%をメトドクラシコで造る野性的で力強いスプマンテ”パス・ドゼ”、最後にネレッロマスカレーゼ100%で造られ、ブドウのエキスと旨味を最大限に引き出した上級の赤ワイン”シンフォニア・ディ・ロッソ”の計5種類があります。

どれも彼の考えがはっきりと伝わる素晴らしいワイン達です。

訪問をして彼と語り合う中で一番印象的だったのは、彼自身には明確に造りたいワインのビジョンがあり、それに対して自分が現在出来る事、今後成すべき事をしっかりと把握しているという事。ここまで具体的に言い切り、ワインにその考えを直結させている生産者は中々いません。今までは自身の置かれる環境下での制限が多少はあったかもしれません。

完全な独立を実現し、自由に、妥協のなくなったアレッサンドロのワインには改めて大きな期待を感じます。今後も新たなシチリアの自然なワインの魅力をきっと発見させてくれるでしょう。

ブラン・ド・ブラン パ・ドゼ

標高400メートルの畑で育ったカタラット100%を野生酵母で醸造した瓶内二次発酵のスプマンテ。ステンレスタンクで発酵。その後90%をステンレス、10%を古いバリックで熟成。ボトリング後モストを加えて瓶内二次発酵を行います。その後瓶内で20ヶ月間熟成。野生酵母と亜硫酸をギリギリまで抑えた果実味からは力強い旨味と野性味を感じます。

カタラット100%

リンゴのタルト、ドライハーブ、ハチミツ、金木犀などを感じさせる芳ばしいアロマ。一部木樽を用いた長期熟成の複雑でビターな香りがあり、グラスでの変化もあります。

しっかりとした泡はキメ細かく心地良く口の中で広がります。味わいはドライでビターな旨味がぎっしりと詰まっており、ほのかなタンニンも感じます。強く長い余韻を持つすごいスプマンテです。

ノーテ・ディ・ビアンコ

アレッサンドロが手掛けるベーシックな白ワイン。ステンレスタンクで自然発酵。マセラシオンは2日間。そのままステンレスタンク内でシュールリー状態で6ヶ月間熟成。なかなかのボリューム感があり、澱からの複雑味と穏やかな酸味、エキゾチックなアロマが素敵です。

グリッロ100%

金柑とハチミツやシロップを思わせるの甘いアロマ。ジャスミンやセージなどのハーブも感じられさまざまな香りが楽しめます。

酸は穏やかで丸みのある果実味が特徴。甘い雰囲気のある自然な果実味で、程良いボリュームのアルコール感とコクが綺麗な余韻と共に感じられます。

ノーテ・ディ・ロッソ

アルゲントゥムをベースとした新たなワイン。ネロダーヴォラにシラーとネレッロマスカレーゼを少量ブレンド。より繊細でエレガントな印象を感じさせます。マセラシオンは10日間と短めで無理な抽出をせずに柔らかく行います。500ℓの栗の樽で6ヶ月間の熟成を行いノンフィルター無清澄でボトリングされます。完全にSo2無添加。透明感すら感じるしなやかで自然な旨味を味わえるワインです。

ネロダーヴォラ60%、シラ30%、ネレッロマスカレーゼ10%、

バルサミコやクランベリーの爽やかなアロマ。トーンがやや高めな印象で、ドライハーブやスパイスの香りがあります。

ネロダーヴォラ主体ながら、繊細で緩みの無い質感。上質で張りのある酸味と旨味が充実しています。新鮮なベリーを絞ったような果実味とノンフィルターのコク、グリップのあるタンニンがバランス良く混在しています。

シンフォニア・ディ・ビアンコ

アレッサンドロが個人名義で手がける、2014年が初リリースの白ワイン。海抜200mに位置する畑では一部ビオディナミも取り入れています。土質は主に粘土質で、シチリアらしい暖かく乾燥した気候。9月第1週に手積みで収穫し、自然発酵、マセラシオンを6日間行い、栗の樽で7ヶ月間熟成させます。その後ノンフィルターでボトリングされます。So2はボトリング時に極少量加えるのみに抑えられています。シンフォニアとは交響曲を意味し、グリッロがコオロギを意味する事からエチケットに花畑と共に描かれています。

グリッロ100%

熟したリンゴやビワ、シロップで煮詰めたパイナップルとレモンなどのトロピカルフルーツ。甘いキャラメルやメープルの魅力的な香りが混ざり合い、僅かにハーブのニュアンス。さまざまな表情を見せてくれます。

穏やかで芳醇な果実味と酸味がうまく溶け合い、馴染みの良い味わい。たっぷりのアロマが口の中でも広がります。僅かにタンニンがあり、程良く引き締まったバランスの良さも有ります。

レ・ミエ・オリジニ

"自分のルーツ"というワイン名からアレッサンドロの強い思いを感じるワイン。標高500mのコントラーダ・ジャルディナッツォという石灰質を豊富に含む畑のカタラットを使用。樹齢15年。収穫は9月末~10月頭と他の葡萄よりもかなり遅摘み。ステンレスタンクで野生酵母発酵、その後大樽で9ヶ月間澱と共に熟成。ノンフィルター。グリッロを得意としてきたアレッサンドロが新たに生み出した傑作ワイン。

カタラット100%

グレープフルーツや野性的なハーブの香りが中心。様々な植物や果物が溶け込んだ充実感に満ちた複雑なアロマ。

豊富な果実感に上質な酸が溶け込んだ絶妙な質感。蜂蜜やハーブのような余韻が素晴らしい。

シンフォニア・ディ・ロッソ

アレッサンドロが新しく醸造を始めた上級ロッソ。ピエトラ・リノーサのネレッロ・マスカレーゼ100%を9月中旬に収穫。ステンレスタンク内で自然発酵、その後栗のトノーで7ヶ月間熟成します。ボトリングはノンフィルター、So2は完全無添加です。ネレッロマスカレーゼ特有のしなやかな果実味加えて、アレッサンドロが造ったワインに共通する穏やかさがしっかりと表現されています。

ネレッロマスカレーゼ100%

赤い果実をミックスしたようなフレッシュでトーンの高い香り。栗樽熟成のまろやかで甘い雰囲気も感じられ、心地の良いピュアなアロマが楽しめます。

ネレッロらしい芯がありつつしなやかな果実味ですが、特徴的な柔らかさ、穏やかさが際立っています。バランスの良い酸味とタンニンに、葡萄エキス感が溶け合い、身体にするりと入る限りなく自然な味わいです。

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